名古屋地方裁判所 昭和33年(ワ)1502号 判決 1958年12月13日
原告
国
右代表者法務大臣
愛知揆一
右指定代理人
名古屋法務局訟務部第一課長
鈴木伝治
同
大蔵事務官 新美猛
水野専之助
名古屋市中区下長者町二丁目八番地
被告
桑山織布株式会社
右代表者代表取締役
桑山清一
右当事者間の昭和三十三年(ワ)第一、五〇二号所有権移転登記抹消登記手続請求事件につき当裁判所は左の通り判決する。
主文
被告は別紙目録記載の建物につき名古屋法務局緒川出張所昭和二十九年七月十二日受付第二一四六号を以つて為された同年六月二十日附売買に因る取得者を桑山織布株式会社とする所有権移転登記の抹消登記手続を為すべし。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
原告指定代理人は主文同旨の判決を求め、その請求の原因として、原告(所管庁名古屋国税局長)は訴外カネリ織布株式会社に対し金二百九万二千六百四十二円の租税滞納債権を有するものである。それで原告は右会社所有の別紙目録記載の建物を差押えようとしたところ、該建物につき主文掲記の如き移転登記が経由してあることが判明した。
しかしながら右登記原因となつている売買は右会社が訴外岩田商事株式会社等に対する債務の追及を免れるため被告会社と通謀してなされた虚偽の売買で無効である。従つて右仮装行為に基く右登記も亦無効のものである。
よつて原告は前示租税滞納債権取立のため、カネリ織布株式会社に代位して被告に対し右登記の抹消登記手続を求めるため本訴に及ぶと陳述した。
被告は郵便特別送達の方法に依り呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず且つ答弁書その他の準備書面をも提出しない。
よつて原告主張事実は被告において之を自白したものと看做すべく該事実に依れば原告の本訴請求は理由があるから之を認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条に則つて主文の通り判決する。
(裁判官 西川力一)